2026年5月20日
セミナー開催報告

第28回MaOIセミナー「水中ロボティクスをめぐる日豪の最新事情」

第28回MaOIセミナー【国際連携企画 静岡・Queensland共同開催セミナー】「水中ロボティクスをめぐる日豪の最新事情」を令和8年5月11日(月)にホテルグランヒルズ静岡5階センチュリーで開催いたしました。海洋に関する調査研究や海洋ビジネスに欠かすことのできない水中ロボティクスについて、日豪それぞれの取組状況や、具体的なビジネス事例についてご発表いただきました。

講演者ならびに御出席いただいた皆様、ありがとうございました。

セミナー概要

セミナーでは

●東京大学 生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター 准教授 巻 俊宏 様
●クィーンズランド工科大学 教授 マシュー・ダンバビン様

のお二人に基調講演を行っていただいたほか、企業PRとして

●ヤンマーブルーテック株式会社 代表取締役 不破 一郎 様
●株式会社UMIAILE 代表取締役 板井 亮佑 様
●ReefWorks リサーチ・チームリーダー メラニー・オルセン 様(オンライン)
●GeoNadir 共同創業者・サイエンス・プロダクト責任者 カレン・ジョイス 様(オンライン)

から、それぞれの事業について御披露いただきました。

基調講演概要

「日本におけるAUVの研究開発動向」

東京大学 生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター 准教授 巻 俊宏(まき としひろ)様

巻先生による講演の中で、AUV(Autonomous Underwater Vehicle:自律型海中ロボット)は、これまでの有人潜水艇や潜水士にくらべ、自律性は高いものの、行える作業の複雑さは低いため、今後は複雑な作業もできるように研究開発をしていく必要があると説明がありました。

実際に巻先生の研究室で研究開発が進められている作業AUVとして、海底画像マップを作成したり、遊泳生物の自動追跡機能をもったAUV「HATTORI」について紹介していただいたほか、南極大陸の氷の下を探索するAUV「MONACA」についても説明していただきました。

「Cooperative Marine Robotics & Deployable AI: Applications & Opportunities
(協調型海洋ロボティクスと展開可能AI:応用と可能性)」

クィーンズランド工科大学 教授 マシュー・ダンバビン様

つづくダンバビン教授の講演では、海洋ロボティクスと展開可能なAIが、環境保全・災害対応・ブルーエコノミーを支える中核インフラになりつつあると説明がありました。

AUVなどの自律型海洋ロボットは、AIによる知覚・適応ミッション計画・マルチロボット協調を備え、浅海から深海まで長期連続運用が可能になっていて、センサー、通信、デジタルツインと統合されることで、単なる観測プラットフォームから意思決定支援インフラへ進化しているとのこと。

日本とクィーンズランドにとっては、珊瑚礁や漁業、沿岸災害監視による環境レジリエンス強化や、さらに自律検査、養殖、洋上エネルギー、港湾運営などの海事産業の高度化という点で戦略的重要性を持つとのお話を伺いました。

企業の事例紹介

ヤンマーブルーテック株式会社

同社が開発中のROVを紹介していただきました。ヤンマーブルーテック様が開発中のROVは船底を清掃するもので、さらに清掃によって発生したデブリの回収も同時に行うことができ、今年度中に事業化する予定とのことです。船底に付着して運ばれてきた外来生物の問題や、付着物の影響で船の燃費が悪くなる問題の解決につながる取組です。

株式会社UMIAILE

同社では無人水上艇(USV)を開発しています。同機は多様な用途に対応できるよう、センサーや機器のカスタマイズが可能な設計で、安全保障や海底変動観測などのユースケースを想定しているとのことでした。今後のビジョンとして、「高度0メートルの人工衛星」として、地球規模で海を見える化するためのインフラ作りに取り組まれていく決意を表明されました。

ReefWorks

クィーンズランド州は6,000㎞にもわたるサンゴ礁「グレートバリアリーフ」を有していますが、その調査や、ダイバーが潜ることが難しい場所の調査をするため、クィーンズランド工科大学と共同で新しいAUVを開発したそうです。また、クィーンズランド州政府との提携し、最大12メートルまでの無人船舶の実験が可能な試験場を設立したそうです。

GeoNadir

クィーンズランド州のリザード島では、ドローンや衛星画像を組み合わせて分析した結果、2024年に97%のサンゴが白化し、3か月以内にその92%が死滅してしまったそうですが、事前に適切な対策がとれていれば防げたかもしれません。世間には多くの利用可能なデータがありますが、それらの9割が分析されていません。これを誰もが分かるような情報として発信し、生態系の管理を支援する取組を行っているとのことです。

アーカイブ動画について

当セミナーの模様は6月中に、アーカイブ動画を公開予定です。御興味がある方は、是非ご覧ください。

※アーカイブ動画はフォーラム会員限定公開です。