2023.04.06

レポート

第8回MaOIサロンを開催しました!

 今回のサロンは”生命の根源物質”とも呼ばれる5-アミノレブリン酸(5-ALA)について、水産業における飼料としての有用性をテーマに、ネオファーマジャパン株式会社の田中氏、木下氏に御講演いただきました。

生命の根源物質5-アミノレブリン酸 水産関連での応用を中心に

“5-アミノレブリン酸(5-ALA)は生命の根源物質とも呼ばれる物質。糖尿病、うつ病などに効果があるなど、ヒトの健康にとって良い働きを持つことが明らかになってきている。” このように語るのは、ネオファーマジャパン株式会社の田中氏。

田中氏は、5-ALAがヘム鉄の供給を介して細胞内のミトコンドリアを活性化するという作用メカニズムが最近の研究によって解明されたことに言及。最近では、5-ALAがヒト生体内の造血、免疫、抗酸化作用などに促進効果のあることも明らかにされてきているということでした。

そして、5-ALAがヒトに効くということは魚にも効くのではないかという独自の着想から、ネオファーマジャパンが現在実施している、5-ALAを利用した養魚飼料の研究・開発事例へとお話は展開していきます。

田中氏に続いて登壇されたのは同社木下氏。木下氏はネオファーマジャパン社が実際に5-ALAを養魚飼料に活用することを目指した、下記のような研究事例を紹介されました。

  • 5-ALAをブリに給餌した結果、赤血球の増加する傾向が認められた。このため赤潮などで生簀に酸欠状態が生じた時に、養殖魚に貧酸素状態に耐性を付与する効果を発揮する可能性がある。
  • 5-ALAをウナギの稚魚であるシラスウナギへ給餌した結果、体重は2倍程度に増加、全長も伸びる傾向が認められた。
  • 5-ALAをヒラメへ給餌した結果、病原性ウイルスに対して耐性を示した。
  • 5-ALAをバナメイエビへ給餌した結果、脱皮の回数が増加し、それにともないエビの体重が増加した。

上記以外にも、養殖魚のへい死率の抑制、卵の孵化率向上、イノシン酸増加による品質改善など、養殖において今後、期待できそうな5-ALAの機能についてもお話されました。

ネオファーマジャパン社 田中氏、木下氏のご講演の後は意見交換会を実施しました。サロンに参加された多くの方々が5-ALAへご興味を持たれたようで、多くのご質問が講師に寄せられ、また講師の方々も丁寧にご返答されておりました。1時間ほどの時間が短く感じられるほど活発な意見交換会となりました。

MaOIサロンでは、フォーラム会員限定ではありますが、今後も海洋産業や研究のトップラナーをお招きし、少人数で内容の濃いサロンを開催してまいります。ぜひMaOIフォーラムにご入会いただき、MaOIサロンにご参加ください。

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