2023.04.07
レポート
第15回MaOIセミナー「私たちの‘食’を考える~水産未利用資源の有効利用に向けて~」
2023年3月13日(月)、「私たちの‘食’を考える~水産未利用資源の有効利用に向けて~」をテーマに第15回MaOIセミナーを開催しました。会場は静岡市のグランヒルズ静岡、現地とオンライン配信のハイブリッド形式で開催し、多くの方にご参加いただきました。
セミナーの演題は、「水産未利用資源の有効活用に向けた最近の取り組み」。東海大学の清水宗茂先生にご登壇いただきました。
講演では、畜産の現状、及び、それと比較する形で水産の現状をご説明いただき、さらには、水産資源の有効活用に向けた取り組みとして、様々な活用事例をご紹介いただきました。
畜産については、鶏、豚が話題として挙げられていました。鶏肉、豚肉では、通常食べる部分のみでなく、その他ほとんどの副生物を食材、機能性食品素材として活用しているとのことです。
鶏の場合は、足から抽出したコラーゲンを継続摂取することで、肌の乾燥対策になること、また、豚の場合は、プラセンタ、精巣、エラスチン等が健康に役立つ成分となるとのことでした。
さらに、畜産の場合のメリットとして、大規模経営の場合、生産から加工、出荷を一貫した体制を完備していて供給の安定化、効率化を実現しているとのことです。
では、水産については、どうでしょうか。マグロを例にとってみると、血液以外ほぼ活用されているそうです。水産も畜産に負けず劣らず有効活用されているという一例がマグロでした。しかしながら、サーモンを例にとってみると、まだその段階までは至っていないようです。つまり、魚種によっては、非可食部について、まだまだ活用の余地を残しているとのことでした。
また、水産では、漁獲の安定が難しい部分がある点についても触れられた一方で、近年では、技術の進展や陸上養殖等により原料確保の見通しがつくことで、未利用部位を用いた付加価値のある製品供給への期待も語っていただきました。
未利用資源の活用例としては、静岡県らしく、ウナギ残渣を活用して食品開発を行った例などをご紹介いただきました。ウナギに多く含まれる成分イミダゾールペプチドが疲労回復効果やメタボ予防、アンチエイジング作用を持つことに着目。慢性疲労の低減が気になる中高年者向けに、美味しく、手軽に食べることができる惣菜として活用するという事例のご紹介でした。他にもマダラの白子、チョウザメ、アカモク、潮カツオなどの活用についても事例紹介がありました。
最後に、先生からは、未利用資源を廃棄してしまうのではなく、食材、食品への活用につなげていってほしいというメッセージをいただき、講演は終了しました。
講演後は、先生との名刺交換待ちの方で長蛇の列ができ、会場内は大変盛況でした。
さて、次回のMaOIセミナーは、6月頃を予定しております。 MaOI機構では、セミナー開催等のフォーラム運営を通して、皆様に役立つ情報の発信を引き続き行ってまいります。MaOIフォーラムへの入会をぜひご検討ください。