2022/05/24
令和3年度第3回MaOIセミナー 「コロナ禍と日本経済」

令和4年(2022年)1月26日、令和3年度第3回MaOIセミナーを会場とWeb配信のバイブリッド形式で開催しました。今回は東京大学名誉教授、学習院大学国際社会科学部教授 伊藤 元重先生をお迎えし、「コロナ禍と日本経済」というタイトルでご講演いただきました。


講演の中心はDX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)。
DXもGXもコロナ前から推し進められてはいましたが、コロナ禍を機にそのスピードが加速しているということです。

伊藤先生は、DXもGXも日本政府が産業政策として成長させようとしている分野であり、企業がDX、GXを利用したビジネスを展開できるようにするのが狙い。実際に多くのお金と人材がDX、GXに集中していると説明。
しかし一方で、講演後の聴講者からの質問にもありましたように、特にDXに関しては社会インフラの構造改革のように捉えられているようところもあり、特に多くの高年層の経営者が、インターネットやコンピューターを使った仕事のやり方に「適応できない」といった感覚を持っている現実もあるようです。
この現状に対して、伊藤先生は「DXは制度の変更ではない。DXは経営者にとって、「さまざまな課題を解決する方法」として発展させるべきと説明。伊藤先生は東日本大震災で津波による壊滅的な被害を受けたある陸前高田市の醤油メーカーが、クラウドファンディングによる資金調達や高級醤油などのネットを利用した差別化商品の販売などで経営を立て直した事例を紹介。DXの利用と、これまで培ってきた醤油醸造の技術を組み合わせた、いわば両利きの経営が重要だとお話になられました。

両利きの経営という考え方は、今後GX、DX導入検討している企業様、あるいは導入を促進する自治体の方々にとって非常に参考になるものではないでしょうか。 伊藤先生は経済について様々な本をお書きになっておられます。どれも分かりやすいということで好評を得ておられます。機会がございましたらご一読されてみてはいかがでしょうか?

文 齋藤禎一 MaOI機構上席主幹研究員