第22回バイオテクノロジー学会 シンポジウム
〜DX革命とマリンバイオテクノロジーの将来〜
五條堀 研究所長はまず、MaOI機構が駿河湾をはじめとした静岡県沿岸地域を海洋産業クラスターとして発展させることを使命として設立された機構であることをご説明されました。特にMaOI機構が管理運営するデータプラットフォームBISHOPについて詳しくご紹介されました。
現在、BISHOPでは静岡県沿岸の設置された定点の水温など海況データや黒潮流路図、公共水域の水質データなどが閲覧できるようになっております。ご講演の中で所長は今後もBISHOPのデータおよびコンテンツの拡充を進めていくとお話になられました。特に五條堀所長ご自身のご専門分野でもある生物ゲノム情報については、サクラエビなど静岡県の主要な水産資源のゲノム情報、水産資源の生態の重要な環境中のゲノム情報(eDNA)、環境指標となるほか工業的にも利用の可能性のある微生物ゲノム情報(メタゲノム、シングルセルゲノム)などを今後も積極的に収集し、近い将来、”海洋生物遺伝資源ライブラリー”としてデータベース化するとの構想をお話になられました。本シンポジウムのタイトルにもあります”DX革命とマリンバイオテクノロジー”の将来像の一つが想像できるお話でした。
また五條堀所長は、今後BISHOPでは人工衛星から取得される観測情報など新しいデータも積極的に取り込んでいくというお話もされ、BISHOPを静岡県海洋産業クラスターのDX技術の中核となるプラットフォームに育てるという方針を示されました。
文 齋藤禎一 MaOI機構上席主幹研究員