事例紹介 : ニジマスの養殖生産技術『味上げ』の開発
テーマ
浸透圧調節等を利用した安全で美味しいニジマスの養殖生産技術『味上げ』の開発とブランド化
事業の目的
魚の旨みを最大限に引き出す技術として、魚の「浸透圧調節」の仕組みを利用したニジマスの『味上げ』養殖生産技術を確立し、静岡県の養鱒業の発展とブランド深化に貢献する。
静岡県は、国内有数のサケ・マス養殖事業が盛んな地域である。富士宮地区では豊富な富士山の湧水を活用したニジマス養殖が行われている。
(写真提供 : 柿島養鱒株式会社)
今回の助成事業は、
- 味上げという技術を使い、よりおいしいニジマスを作出する。
- それをブランド化して流通させること。
- 良いニジマスを作るための飼料を海洋由来微生物を用いて開発すること
の3つのテーマを掲げて令和元年度より取り組んだ。
ベビーサーモン® (写真提供 : 柿島養鱒株式会社)
味上げについては、海水暴露による浸透圧調節の手法により、うまみ成分の増加が、機器分析及び官能評価から検証できた。
ブランド化・実生産場所の検討については、確立した味上げをどこでどのようにして実施するかを県内の事業者などと協議し、複数の方法で実施することにめどをつけることができた。また関連する知財(特許・商標登録)を出願することでブランド化のめどが立った。
また駿河湾で見出した微生物を飼料に配合することの有用性の検証もできた。
今後は、この技術を活用し静岡県の養鱒業の発展やブランド化にも貢献していくことが期待される。
(写真提供 : 柿島養鱒株式会社)
コーディネーターコメント
今回の事業化促進助成事業は、柿島養鱒株式会社様が代表事業者となり、5つの企業・大学・研究機関からなる産学連携コンソーシアムを組んで実施した。メンバーが多く、進捗の打合せなど時間調整が難しかったが、皆様の積極的な協力のもと、各分野の専門家の叡智を集めることにより、当初計画どおりの成果を得ることができたと思います。
これからはこの技術を活用したニジマスが県内・県外に流通し、静岡県の特産品の一つになるよう引き続き支援していきたいと考えています。