ワクワク経験話~ある会社の奮闘~
それは、MaOI-FS助成制度の締め切り2週間前のことでした。事務所に電話がありました。
「新しい商品を、作りたいのだけど補助金って使えますか」と言う問い合わせ。
もう時間もないし、電話だけじゃぁ、内容も分からない。大丈夫かなぁと思いつつ、「先ずは話を聞きましょう!」と返事をしました。
そして、数日後、その会社様に訪問してみると・・・・。
その会社は、地域に根ざした歴史ある食品販売の会社で、近年の流通変化に対抗して頑張っておられました。
今回の相談対象は、事業の中でも比較的小さな魚の加工部門。時代の変化で焼魚が家庭内の料理として減っているので新しい製法を発案して、テスト販売を目指したいのだけど、それに必要な設備を導入する費用が大変!との事。
「ならば、頑張って計画書作ってみますか!」と、突貫作業が始まりました。
・・・・・(中略)・・・・
そして何とか応募。しかしMaOI―FSとはいえ、審査にハードルは存在します。日々の仕事では、お客さんに対して商品の説明や特徴を、分かりやすく話せても、技術の新規性を問う質問には苦戦です。「食べて貰えは解るのに!」と思いつつ、苦渋を舐める結果でした。
ところが!
その後、MaOI-FSで追加募集があり、再びチャンスがやって来ました。さぁ、どうする?
「1回目で色々わかったから、ハードルは少し下がった」「相手に合わせるのが我々の仕事だから」と、言う言葉に、今度はこちらが引きずられてしまいました。
「申し訳ないけど、科学的に・・・って大変ですよ。」「審査員は食品や調理の専門家じゃないから、彼らの世界の言葉で説明しないといけませんよ」と言っても、弱気発言は全く受け付けられず、申請書類の書き直しと、用語の訓練などの特訓と、さらには想定質問まで!
・・・・・(中略)・・・・・
もちろん!今度は、見事に審査を乗り越え採択を勝ち取ったというお話です。
研究室もないし、理系出身者もいない会社であっても、頑張ることで新たな世界を獲得し、成長していける、助成金制度は、金額よりもそちらにこそ、本当の価値があるのではないか?と思う経験でした。
我々コーディネーターは、時として伴走支援なんて言う言葉をつかいますが、伴走者よりも大変なのは、日々の仕事をこなした上で、新しい事にチャレンジする当事者の方々。でもその先にある可能性に目を向ければ、その努力が無駄 にはならないと言うことを改めて認識した経験でした。
追伸:勿論、試作が成功し報告書が問題なく提出できるまで、気が抜けないのは当然です。